satosakayaの感想

感想は恐らく間食のような存在

コミカライズ版『烏に単は似合わない』 感想

 コミックDAYSでの全話無料公開で知り読みました(現在無料公開は終了しています)。とても面白かったのと、一周しただけでは理解し切れない部分があったので二周したんですが、一回目と二回目では全く違う印象になる作品はやっぱり良いですね。



 最初に感じたのは絵と漫画が上手すぎるということ……。しかもお話自体の雰囲気ともぴったりでこれ以上のコミカライズがあるのだろうかと驚きの連続でした。


 三十六話の最終ページ前で三人の姫達が「オイオイ……もしかしてあせび、私らの中で一番“ヤバイ”んじゃねえのか……??」みたいな表情してるのが印象に残ってます(姫達は育ちが良いので実際はこんな言葉遣いはしない)(浜木綿はしそうではある)。真赭の薄と浜木綿は恐れとドン引きって感じの表情をあせびへ向けてましたが白珠は二人とは少し違って「うげっ」って吐きそうな表情してたなーと。思い返せば若宮からの文についてもあせびのことを疑ってましたし、白珠はあせびがどういう行動をとる人間なのか見抜いていたのかもしれません。白珠の『その 「自分は汚いことなんて なあんにも知りません いつまでも綺麗です」って 信じ込んでいる顔 あたくし 心底 いっとう嫌いです!!』の言葉は今思うと割りと的を射ていたのだなあ。これまでの話とは関係無いですが『いっとう嫌いです』の所が罵倒にも育ちの良さが表れてて好きです。


 ショックだったのは真赭の薄と仲良さそうだったのにそんな真赭の薄の身を脅かすような行為をあせびが(無意識なのかもしれないけれど)やったことです。一歩間違えれば純潔を奪われていたかもしれないのに。もし奪われていたとしても、あせびは『お可哀想に…』と泣くだけなのだろうか……きっとそうなんだろうなと考えて更にショックを受けました。真赭の薄は『あせび あなたはね 妹みたいよ』とまで口にしていたのに。あせびも聞いていたのに。最終話辺りの真赭の薄はどんな気持ちを抱いていたんだろうと想像すると辛さしかない。でもあせびは幼い頃から知る藤波や仲良しの早桃も犠牲にしましたし真赭の薄に対しても好意は持っていようと平気で犠牲に出来てしまう、そういう人間だったんでしょうかね。


 ここからは作品の感想からはちょっと離れた話になります。どうでもいい方は飛ばしてください。

 私はあせびに関して「女」という点を強調するような言い方は好きではなくて、これは他の登場人物、他の作品でも同様ですが「どうして性別で区別する必要があるんだろう?」と疑問を抱いてしまうんですよ。世の中ではあれだけ女だから男だからって差別するんじゃねえと声を大にしているのに……。別にあせびのような性質を有していることに性別は関係無くないですか? そこん所がめっちゃ解釈違いです!!! という話でした。本当にずっともやもやしている話なのでまた書くかもしれません。サビだとでも思ってください。


 無料公開、単行本も全巻まるっと無料なのすごかったですね。最終巻の四巻なんて今年の六月に発売したばかりで新刊じゃん!? 空目ではないかとリアルに二度見しました。原作小説も買って読んでみます。